初心者のためのレンタカーガイド
絶滅した恐竜たちのように大型化しても虚飾の浪費とも大気汚染をまき散らして走る乗用車、一部の商用車は、軽自動車級の自動車に「軽負荷化」する必要がある。
軽自動車のサイズをインターナショナルな自動車の標準サイズにすることはできないだろうかと、筆者はその本で提案した。
その本では、「軽文明」とも言える軽負荷化、サイズについてはダウンサイジング化の文明改造論について多くを触れた。
しかし残されたテーマがあった。
トラック、バスだ。
乗用車とはちがって、トラック、バスのばあいは、よりビッグサイズのほうが経済合理性があり、効率的なのだ。
人件費がかさむ運転手一人当たりの積載量、乗客定員が多くなるからである。
では、トラック、バスはどうしたらいいのか。
それは記者自身のテーマとして残った。
正直に言って、天然ガス自動車というテーマの企画が提案されるまで、天然ガス自動車などには興味を持っていなかった。
大きくかさばる圧縮天然ガスタンクを積んで走る自動車なんて、またなんとけったいな、という感覚がいまだに強い。
さらにそのテーマを取り上げることによって世間から受ける記者自身に対する評価などについても、シビアに考慮しなければならない。
そうして秋まで、出版企画にともなう肝余曲折があって無為な一年間余りが過ぎていった。
というのは、記者は、もしも天然ガス自動車に存在理由があるとしたなら、それは安全保障のためのエネルギー多様化の一環としてであり、環境対策としての天然ガス自動車の存在理由は小さいか、将来的には、排ガスがクリーンなディーゼルエンジン車が登場して、天然ガスエンジンは超クリーンな排ガスが求められる特殊用途車両だけに限られるようになるはずと主張したからである。
そしてなぜ、安全保障のためのエネルギー多様化が必要不可欠なのか緯線解説させていただいた。
西暦二〇〇一年九月十一日の火曜日の夜(日本時間)、イスラム復興狂信主義者集団がハイジャックした旅客機を旅客、乗組員もろともニューヨーク世界貿易センター南北2棟にも激突させもさらに首都ワシントンの国防総省ビル、ペンタゴンにも激突させるという同時多発テロが発生した。
ハイジャックされたもう一機は勇敢な乗客が決死の妨害作戦を実行、ピッツバーグ市近郊に墜落した。
ブッシュ米国大統領はただちに国際テロ集団に対し、反撃報復のための戦争状態に突入したと宣言した。
「二十世紀は一九八六年十I月九日(ベルリンの壁崩壊)に終わり、二十一世紀は二〇〇一年九月十一日に開始した」と語るフランス国際関係研究所のD副所長の歴史認識を産経新聞のYパリ特派員は九月二十三日付け産経新聞で伝えた。
世界史は、宗教がらみの戦争は30年間から数世紀間はつづくことを教えている。
二十一世紀の戦争は、国際テロを相手にした特殊戦だけでは、ない。
正規軍による本格的な戦争を呼ぶ政治経済的なアジアにはありあまるほどある。
では、そうした二十I世紀にも天然ガス自動車はどのようなレーゾン・デートル(存在意義)を発揮できるというのだろうか。
そのイメージを記者は木炭自動車にダブらせて描いていた。
第二次世界大戦前後(一九三〇〜一九五〇年)の20年間、フランスと日本では、ガソリン、軽油の供給不足から、木炭自動車が走り回っていた。
貴重なガソリン、軽油は軍用に回され、木炭自動車がその時代の民間経済を動かしていたのである。
とくに国民経済が悲惨な状態にあった終戦直後の4、5年間、木炭自動車なしには、日本は飢餓地獄に突き落とされていたはずなのだ。
実際、「200万人餓死説」が警告されていた。
そして当時のエネルギー多様化の一角を構築していた木炭自動車なしには、日本の戦後復興は大きく遅れたはずなのである。
二〇〇一年九月十一日から、世界は不穏な二十一世紀に突入してしまった。
これからはなにが起きても決しておかしくはないのである。
基本的に相場商品である原油価格はセンシティブに乱高下をつづけるだろうし、いつ供給不安が起きるかわからず、供給の途絶、シーレーン遮断、封鎖という事態も十分ありえるのである。
木炭自動車は、マキや木炭を車載ガス発生器のなかで蒸し焼きにし、そこから発生する一酸化炭素、水素などの木炭ガスと新鮮な空気を混合させ、ガソリンエンジンのピストンが吸引して燃焼させて走る。
パワー不足から急な登坂路にさしかかるとバスの乗客は降りて、みんなでバスを押して坂の上まで歩いたりするのが街の風物詩のような光景になっていた。
技術的には、一酸化炭素はシリンダー内の高圧縮に耐え、熱効率はガソリン車より比較的高めだったという。
記者の幼少時代にはまだ、近くの目黒通りをこうした木炭バスや、大きなガス発生器をリヤバンパーの上辺りに積んだ黒塗りの高級乗用車があたかもマキを焚きながら走る今のヤキイモ屋の軽トラックのように行きかっていた。
運送会社に引っ越し荷物を頼んだら、ガス発生器の火が移ってしまって燃えてしまったと、わが家のお茶の間で嘆いていた父の友人の姿を今でも覚えている。
目黒通り界隈はそうした木炭自動車だったが、日本海側や、東京の東半分から千葉県、茨城県にかけての路線バスは、圧縮天然ガス自動車が主流だった。
圧縮ガスを貯蔵するタンクについては、アメリカ海軍を震接させた酸水素魚雷を開発した日本にはおてのものだったはずである。
酸素ガスと水素ガスと燃焼させてしまうこの魚雷は、通常の魚雷のような空気泡による航跡が出ず、艦艇や航空機から発見しにくいのである。
最初に天然ガス自動車の出版企画が持ち込まれたとき記者の脳裏に描かれたのはこの有事経済下の木炭自動車のイメ〜ジだった。
そのイメージは、二つのパートから構成されている。
一つは、天然ガス自動車の技術的戦略的図式の縮図を木炭自動車の歴史的風景のなかに兄い出すことができるということである。
有事の混乱期における代替燃料利用という図式である。
ただし木炭自動車が日本、フランスの国土のどこにでもあった木材を燃料にしていたのに対し、天然ガス資源のほとんどは国外から輸入しなければならないという点では、有事には前者のほうがより有利ではある。
しかし二十一世紀前半に想定される中東有事、シーレーン有事においては天然ガス資源は世界各地に分散されていて、それだけ有事に対する対応力を発揮することができるのである。
また、木炭自動車は、日本国内では森林を乱伐して、終戦直後の山々の荒廃をもたらしたが、天然ガス自動車は、比較的クリーンな、環境破壊の少ないエネルギーであり、平和時でも十分利用できるという図式も描くことができる。
二つ目は、天然ガス自動車は、木炭自動車と同じガス機関自動車であって、やっかいな圧縮天然ガスタンクを搭載しなければならないという図式である。
そのやっかいさは木炭自動車のガス発生器ほどではないとしても、常温常圧で液体の非腐食性の安定した燃料からみたら、はなはだやっかいな代物なのである。
そして今、小さなそのスキマを舞台に天然ガス自動車という一つの自動車のジャンルが社会からの強い追い風を受けて走りはじめた。
しかし商品性のよしあしの問題として天然ガス自動車にはかさばる圧縮天然ガスのタンクを積み込まなければならないという難点がある。
天然ガススタンド(充てん所)の数も少ない。
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